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     上海グリーンクリニックの先生方による、上海在住家庭の健康に役立つコラムをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

上海でかかりやすい病気について (内科 松尾 洋史医師)

年間を通じて多いのは急性胃腸炎で、特に飲食物を原因とする下痢が多いのが特徴です。
予防としては、「水道水から作られている氷が多いので、氷入りの飲み物は避ける」、「生ものは避け、熱がしっかり通ったものを食べる(特に牡蠣をはじめとした貝類は危険)」、「カットフルーツやサラダは、水道水で洗っているので避ける」などの注意が必要です。
最近、頻度は減ってはきていますがA型肝炎は成人で発症すると重症化するので注意が必要です。
また、日本では少ないですが上海をはじめ世界的には蔓延している疾患として、B型肝炎があります。
肝炎についてはワクチンなどで予防する方法もありますので、わからないことがあればお気軽にご相談ください。

他にも、上海の場合は呼吸器疾患の頻度が多く、咳などの症状が長期化しやすいと感じています。感冒症状が軽快した後も、咳だけが残存している場合、咳喘息といって将来的に気管支喘息に移行するケースもあるため、早目に専門医を受診することをおすすめします。
上海グリーンクリニックでは呼吸器科もあり、精密検査も可能です。

私がグリーンクリニックに勤務して早いものでもうすぐ1年になります。海外で体調が悪くなるのは、とても不安だと思います。
患者様との距離が近くなるように心がけ頑張っていきたいと思いますので、健康面でお困りの際は、何でもお気軽にご相談下さい。

肺結核について (内科 坂本 英雄医師)

【はじめに】

肺結核は、結核菌が空気感染によって、ヒトからヒトへと感染する伝染性の呼吸器疾患です。肺結核を発病した人の咳などによって、結核菌は空気中に飛び散ります。そして、空気中を漂う途中で水分が蒸発し、飛沫核と呼ばれる小さな粒子となります。これを吸い込むことで、感染が起こるため、飛沫核感染とも言われます。
結核菌は1882年に、ドイツの細菌学者であるロベルト・コッホによって発見されましたが、結核菌とヒトとの歴史は長く、5000年前の人骨やミイラを調べると、結核感染を示すデータが発見されたとの報告があります。現在も、世界中のほとんどの国で結核は見られ、無症状の人を合わせると、世界中の人口の約1/3(約20億人)が結核に感染し、その5~10%が発症しています。近年では、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因ウイルスであるHIVとの関連が世界的な問題になっています。HIVに感染してAIDSを発症すると、免疫力が低下して結核を発症し易くなると言われています。
今回は、この肺結核について是非知っておいていただきたいことを、最近のトピックスを交えてご紹介したいと思います。

【日本、中国での肺結核の発生状況】

「結核の統計2009」によると、2007年における日本の肺結核罹患率は、人口10万対19.8(実数として約2.5万人)と低下傾向ですが、オーストラリアや米国の約4倍です。日本は世界的に見て、「結核の中蔓延国」です。
なお、WHOによる統計では上記の値と少し異なり、2007年における日本の結核罹患率は人口10万人当たり14であり、中国では、93とはるかに多い値を示しています。(GLOBAL TUBERCULOSIS CONTROL (WHO REPORT 2009)より) そして、 北京市衛生局は、中国における結核感染者は約5億人であると発表しており、これはインドに次いで世界で第二位の多さです。
これまでにも、様々な対策がなされてきましたが、依然として患者数が多いことが伺えます。

【肺結核の診断・治療】

肺結核は一部の人だけに関係する病気ではありません。何ヶ月も咳や痰の自覚症状があっても、長引いている風邪だと思い込んで病院へ受診されないケースも多く存在します。そのため、肺結核を発病している人が普通に日常生活をしていて、知らないうちに多くの人に感染させてしまっていることも少なくないのです。なお、結核菌に感染した人のうち、10人中1人が発症すると言われています。
肺結核を発症した場合の症状としては、咳、痰、血痰、発熱、寝汗などが知られています。最も多いのは咳で、3ヶ月以上も咳が続く場合には要注意です。もし、咳が2週間程度続く場合には、内科に受診するのが望ましいと言えます。
肺結核の確定診断は、病巣からの生きた結核菌の確認で行いますが、痰からの菌の検出を確認することがほとんどです。さらに、痰検査で結核菌の遺伝子が含まれているかどうかを調べる「核酸増幅法(PCR)」を用いることも有用です。 また、画像検査として胸部レントゲン写真や胸部CT検査を行います。痰検査は通常は3回行われ、痰を特殊な染色液で染めて、顕微鏡で観察して結核菌を認める場合(塗抹陽性と言います)には、他の人へ感染する可能性が高いと判断されます。(塗抹陰性でも、感染源になり得ることも知られていますが、リスクは極めて低いと言われています)
そのため、顕微鏡で見て結核菌が認められた場合には、結核病棟への入院が必要になります。結核病棟では、患者さんの病室から廊下へと空気が漏れにくいように設計されています。また、廊下から、結核病棟外へも空気が漏れにくいようになっており、病室や廊下の空気が1時間に何回も入れ替わるようになっています。もし、痰を染色液で染めてみても結核菌を認めない場合(塗抹陰性)には、結核病棟への入院は不要と考えられています。
昔に比べると、現代では多くの効果的な薬が開発され、治癒する例も増えました。しかし、診断が遅れると重症化する可能性が高くなり、特に高齢者では死に至ることも少なくありません。「銀河鉄道の夜」などの作品で知られる宮澤賢治は肺結核でこの世を去ったと言われています。
肺結核の治療は、抗結核剤の投与にて行います。内服できない場合には、注射剤を用いることもあります。年齢や糖尿病の有無、副腎皮質ステロイドホルモン剤の内服の有無に応じて、3,4種類の薬を6ヶ月から9ヶ月程度内服します。結核菌の中には、薬が効きにくい耐性菌が存在する場合があります。この場合には、薬剤の感受性を調べることで治療に反応し易い薬を選択します。近年、種々の医学的検査の進歩には目覚ましいものがありますが、結核における検査も例外ではありません。従来は結核感染の診断法として、ツベルクリン反応(以下、ツ反)が用いられてきました。BCGワクチンの接種を受けていると、ほとんどの人はツ反で陽性を示すため、正確に結核感染の診断を行うことは困難でした。現在では、結核感染の診断には、クオンティフェロン(QFT-2G)という検査が用いられることが多くなりました。結核菌に感染した人の血液に、結核菌の成分を加えて刺激すると、IFN-γ(インターフェロン ガンマ)という物質が作られることが知られています。そして、この作られたIFN-γの量を測定することで、結核感染の有無を知ることができます。この検査で陽性と結果が出た場合には、98%の確率で感染していると言えます。この検査法は、BCG検査の結果に影響を受けませんので、BCG接種の有無やその結果を気にしなくても良いのです。
結核医療における今後の問題点としては、(1)耐性菌の存在、(2)症状のある人が早目に病院に受診するように啓蒙すること、(3) BCGよりも更に効果的なワクチンの開発、などが有ります。これからの更なる研究と対策が待たれます。

【おわりに】

肺結核についての現状と一般的な内容についてご紹介いたしました。
これまで述べましたように、知らないうちに肺結核を発症している場合があります。咳が2週間程度続いている、発熱が続いて倦怠感も感じる、急激に体重が減ったなど、気になる症状がありましたら、クリニックの内科(特に呼吸器科)へ受診し、痰検査や胸部レントゲンやCT検査などを受けることをお勧めします。なお、上海グリーンクリニックでは呼吸器科もあり、痰検査や胸部CT検査も可能ですので、お気軽にご相談ください。



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